バブル崩壊後の90年代半ばから「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられ、「金融教育」の必要性が叫ばれて来ました。それから約20年、各地で様々なマネーセミナーが開かれて来ましたが、日本人の「金融リテラシー」は一向に向上していません。
それは、世の中で開催されているマネーセミナーのほとんどが、参加者の金融リテラシーを向上させることではなく、「参加者を顧客にする」、「金融商品を購入させる」ことを目的としているからです。
巷では、金融リテラシーを向上させるために、株式投資や投資信託の購入が必要であるかのような意見が罷り通っています。しかし、プロの投資家として資産運用をして来た経験からいえることは、「株式投資や投資信託の購入をしても金融リテラシーは向上することはない」ということです。
何故ならば、株式投資や投資信託の購入は「金融」ではないからです。金融リテラシーを向上させたいのであれば、「金融」を学ばなければなりません。ダンスを上手くなりたい人はダンスを、柔道が強くなりたい人は柔道を学ばなければなりません。柔道が強くなりたい人が幾ら剣道や空手の稽古をしても意味がないのと同じです。